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最高裁判所第一小法廷 昭和46年(オ)185号 判決 1971年10月14日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由第一、第二点について。

原判決の確定するところによれば、被上告人は、上告人が昭和四三年六月二一日に到達の書面をもつてした所論賃料増額の意思表示に対して、同月三〇日上告人に到達の書面により、これに応じかねる旨を回答し、増額の意思表示のあつた同年七月分と八月分の賃料についても従前の額に従つて供託をし、本訴においても右増額の意思表示の効果を争つている、というのであるから、上告人と被上告人との間には借賃の増額について協議が調わなかつたことが明らかであり、このことをもつて、原判決は、「被控訴人は控訴人のした前記賃料増額の請求を争つているのであるから」と判示したものである。原判決になんら所論の違法はない。論旨は採用することができない。

同第三、第四点および第七点について。

原審の確定した事実関係のもとにおいては、上告人は従前の額によるかぎり賃料を受領しない旨を明らかにし、しかも、被上告人においてこれを提供しても当然受領を拒絶するものと認められる旨の原審の認定判断は、正当として是認するに足りる。そして、原審は上告人と被上告人との間の本訴提起に至るまでの賃料増額および家屋明渡の請求に関する従来の経緯に照らして、右の認定判断をしたのであつて、上告人が賃料の受領拒絶の意思を明示的に明らかにしたと認定したのではないから、受領拒絶の意思を明らかにした時期を認定しなかつたからといつて所論の違法を生ずるものではなく、原判決になんら所論の違法はない。論旨は採用することができない。

同第五、第六、第八、第九、第一〇、第一一点および追加上告理由について。

原判決と記録を精査してみても原判決の判断の過程には、なんら所論の違法は認められない。所論はいずれも原判決を正解しないことに基づくもので、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岩田 誠 裁判官 大隅健一郎 裁判官 藤林益三 裁判官 下田武三 裁判官 岸 盛一)

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